写真漁ってたらそういえばかっこいい電車撮ってたなあ…と思ったので記事化。


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大阪市電801形
1932年登場。既存の13m級大型3扉車である1001形を車体更新する際、それまでの大型車にならったものでは経済的では無いということで前中2扉の11m級中型車体に載せ替えた形式です。ちなみに日本で初めて前中2扉配置を採用した路面電車車両。
目を引くのが両開き中扉、ドアエンジン装備で車掌のボタン扱いによって開きます。


この801形、製造時期の違いによって801形、806形、858形、881形と細かく分けられます。
801形では前面窓を中央2分割とし、中開扉が両開きの形態ですが、806形では前面窓が左右非対称(7:3ぐらい)になり、側面扉が同じサイズの大型片開き扉になりました。また、881形は806形と同じ車体を持つ新造車です。
これらの車両は「水雷形電車」の愛称で親しまれていました。

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901形(大阪市交通創業100年/大阪市交通局 より)

858形は少し違い、801形や806形のように1001形の車体更新車ですが、901形と同じ流線型の前面とくの字に折れ曲がった側面が特徴の車体になっています。
901形を含めたこれらは車体形状から「太鼓腹」、「流線」などと呼ばれていました。

戦後、形式再編によって801形・806形・881形は801形に、858形は同じ車体の901形にそれぞれ形式変更されています。


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車内
基本的な車内構成は今の前中扉タイプの車両と同じですが、やはり大きな中扉が目を引きます。
この両開き扉では車掌窓が設けられず、前面監視が出来ないので806形以降はこのサイズのまま片開き扉になりました。すごい発想ブッ飛んでてすき


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床面
大阪市電では一般的な、台車部分以外の床が一段低まって勾配が付いた床です。
車体に対して中扉の開口部が大きいので、勾配もややきつく目立ったものになっています。写真手前は床下点検蓋。


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801形は戦後、春日出・三宝車庫を中心に使用されました。
その後1963年から廃車がはじまり、神戸市電に譲渡されたもの(神戸市電100形)、鹿児島市電に譲渡されたもの(鹿児島市電210形)などもありますが、いずれも早い段階で消滅しています。


最近緑木に行ったらしいですが、それまでは森ノ宮検車場の保存庫で801形801号(形式再編前:804号)が保存されていました。

あまり見る機会が無くさらに中型車という地味な立ち位置の車両ですが、貴重な市電全盛期の郊外型車両なので見る機会があれば一度は見て欲しい車両です。
なにより見た目が無骨に無骨を重ねた感じでめちゃめちゃかっこいいですしね。ただ神戸市電では路線にあまりにも合わなかったせいでめちゃめちゃ嫌われてますが…