前回に続いて2回目です。
こうやってむやみに記事数増やして連作にするタイプはあまり好きじゃ無いんですが致し方なし

 前回は傾向とサイクルの概説と1950年代の刷新・模索期、1960年代の洗練期、1970年代の安定期の30年1サイクルを見ていきました。
今回は1980年代からのサイクルを見ていきます。



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1980年代:刷新・模索期
 おおよそ同じスタイルで20年近く製造し続けていることが多かった各社ですが、1980年を境として刷新したデザインが一気に多くなります。
 1977年に角形シールドビームが登場したことで角形ライトが流行り、軽量ステンレスやアルミ車体の採用で銀色車体化も一気に進行、さらに80年代後半になると制御装置のVVVF化が一気に普及しはじめ、加えてバブル経済も相まって様々な形態、仕様、デザインが花開きました。

主な車両(登場年順):東武9000系(1981年)、京急2000形(1982年)、営団01系(1983年)、近鉄1420系,阪神8000系(1984年)、国鉄205,211系(1985年)、東急9000系,北急8000形(1986年)、国鉄キハ54/31形(1987年)、大市交70系,阪急8000系(1988年)、JR西221系(1989年)など



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1990年代:洗練期
 80年代での刷新ブームが落ち着き、実用性を踏まえて洗練していく時期になっています。60年代の洗練期と異なるのがデザインの新鮮さが重要視された点で、その後20年にわたってデザイン変更が停滞するというような事業者は少なくなりました。

主な車両(登場年順):大市交新20系(1990年)、JR西207系(1991年)、JR西681系,JR東901系,西武6000系(1992年)、JR西223系,JR海キハ75系,相鉄9000系、JR九813,883系,京急600形,南海50000系(1994年)、小田急2000形,京阪7200系(1995年)、京阪800系(1997年)ほか



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2000年代:安定期
 関東圏をはじめに車体が規格化されるケースが主流となり、顔のパーツと帯で個性を出すパターンが多くなりました。
 関西圏ではこの時期に新規で大量導入されたケースが少なく、洗練期の車両を引き続き改良しながら投入するケースやそもそも導入していないケースが割と見られます。

主な車両(登場年順):JR東E231系,近鉄3220/9020系(2000年)、小田急3000形(2001年)、京急1000形,東急5000系(2002年)、阪急9300系(2003年)、小田急50000系,東武50000系(2004年)、JR東E233系(2005年)、西武30000系(2008年)、京成AE形(2009年)



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2010年代:刷新・模索期
 前回の80年代ほど大規模な物ではありませんが、車体の規格統一しつつも画一的なデザインから脱却し、オリジナリティを出す動きが10年代後半から各所で見られます。
 特に大きいのが「銀色からの脱却」です。メトロ1000系や京急1000形15次車、北急9000形2次車のように全面ラッピングを行うもの、更には全塗装を施した相鉄12000,20000系や京急1000形17次車など回帰的な物まで登場しました。そこまでは無くとも顔面形状やライトの形状と配置、帯、その他装飾物など組み合わせ、自由かつ多彩なデザインの広がりを見せています。

主な車両(登場年順):JR西225系(2010年)、メトロ1000系(2011年)、近鉄50000系(2012年)、JR西227系,JR九305系.北急9000形(2014年)、JR東E235,E353系,静鉄A3000系(2015年)、JR西323系,東武500系(2016年)、相鉄20000系,京王5000系,小田急70000形,東急2020系(2017年)、JR九821,YC1系,西武001系,(2018年)、小田急5000形,京成3100/新京成80000形(2019年)



 以上が前記事から続いて見てきた1950年代から2010年代までの60年間の動きです。
 年代により規模の大小はあれど、「30年で傾向は1サイクルする」というのは案外間違えていないんじゃかなって思います。

 もちろんながら長期間製造された車両も多く、90年代登場だけど00年代の安定期も兼ねている場合などもザラにあるため、「〇〇年代だからこれ!」とも決めつける話では無いです。


 さて、このサイクルなら2020年度は「洗練期」となります。
 各社がオリジナリティを模索し、迷走したものを含めて色々なデザインが出てきた2010年代ですが、ここからは次の刷新期までの10数年間の標準スタイルが決まる時期となります。

この先の車両デザインの変化には要注目です。