いよいよミリの周年イベが始まってしまい生活リズムをどうするか迷う日々と向き合う時期になってきました。


ふと閃いたので、今回は近鉄の大型系統板についての話です。
なんというか最近ほとんど近畿日本の話しかしてないですね。ぶっちゃけ手元に一番資料があって書きやすいのが近畿日本なんですよね…


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大型系統板って何?って話は今更することでもありませんが、早い話これです。
主に行先板や標識板と呼ばれるもので、主に方向幕が無かった時代に使用されたものです。

近鉄においてこの大型系統板は方向幕が設置された後もしばらく運用され、主に方向幕に入っていないコマを行先として表示する際に使用されました。
というか、方向幕付き車両が登場したとき同時に板掛け金具を撤廃したものの、その後の増備で板掛け金具が復活する程には使用されていました。

なお、そういった行先板掛けがついていない車両(8600系や2800系)の場合では車内の車掌台に立てかけて掲出されます。


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幌と標識灯の間にある金具が行先板掛け金具。
行先板を取り付ける場合は、まず下の金具に板の下辺を引っかけ、それから上の金具にあてがって半円状の留め具を下に回して固定します。
下辺の金具内側に出っ張りが付いており、板が横にずれて落ちないように仕組みになっていますが、上の留め具の固定が甘くて落下する案件がままあったりします。


普通-1
サボ単体ではこのような形になっています。これは実物を元に描いた物ですが、寸法やフォーマットはこれの通りです。
下辺にあるへこみが先ほど言った取り付け金具下辺の突起と合わさり、横滑りを防止します。

※画像の背景が透過されているので、スマホで見ている場合は画像をタップすると綺麗に見えるみたいです。


鮮魚サボ-2
板の寸法は軽く計った所このような感じ。クソややこしいですが単位はcmです
製作用に余白部分なども寸法取りをしましたが、モノが手塗りのため相当個体差があるようです。おそらく余白に関しては横1.75となっていますが全辺2cmが正しいのでしょうね
ちなみにこの板の下絵に関しては寸法取りをする前なので形は合っていません。

なお南大阪線などにいた旧型車に関しては車体幅が小さいため貫通扉と標識灯の間隔が狭く普通の板がはまらないため、横寸法が異なった細長い形状になっています。


板デザインは区間や種別ごとにそれぞれ表記が違うのでこれがこう、というわけでは全くありませんがある程度は共通性があります。
快速急行_20190722023220
例えば快速急行では流体製のある字体を下に配置し、行先部分は赤地になっているのが基本です。
区間快速では種別字体は同じですが、種別表示が上に配置され行先と種別の色が反転しています。


連絡系統_20190720204132

急行に関してはとんでもない量のデザインがあるのでここでは基本形のみです。
もう特定形態というのもどうかと思いますが、基本は赤地白丸です。この板では連絡表示が入っているのでその分板の表記配置が上にずれています。
また準急や区間急行など、急行に追随する種別も基本的に同じような感じで様々なデザインがあります。ちなみに準急は現在の種別カラーが緑ですが、元々赤なので赤色の準急板も多く見られます


普通_20190724190904
普通_20190722041019
普通列車の行先板です
こちらも様々な形態があり、それぞれ行先ごとにデザインが変わります。
この2枚ですが、上は1967年まで存在した奈良線の八戸ノ里車庫への入出庫運用で使用された板、下は布施駅地上時代に使用された板です。
先に挙げた上本町ー弥刀のデザインしかり、色以外全く違う形態になっているのがよくわかります。


回送_20190722025344
荷物_20190720203010
一般営業車では使用されない板です。
これらは晩年の鮮魚に付けられていたうちわタイプの〇回標識もあるのですが、このように大型系統板を使用した種別表示も存在します。たいていは何かの板の裏面に書かれており、即座に裏返して回送掲示が出せるようになっていたようです。
また下の〇荷ですが、こちらはかつて運行されていた荷物電車で掲出されていた大型系統板です。字体や文字の太さ、〇の大きさなど板によって個体差があるため、一概にこういう形態と決めれるものではありません。


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他にも奈良線の無料特急の鹿板など、ただの長方形では無い板も存在します。
こちらも板の取り付け方法は同じです。ただ、元が800系などに設置された板だからか上下の四角の部分でも寸法の異なる部分がわりと多かったですね。


上で挙げたような全盛期の板は既に古の話ですが、量も種類も大きく減ったものの大型標識板自体は今でも条件が合えば現役で使用される点が面白いところです。

名鉄などでも教習時に同じような大型の標識板が出てきたり、南海や京阪でも幕故障時に板が出てきますが、近鉄ではイベント列車や臨時列車で行先や愛称を掲出する場合や、鮮魚列車で異常が生じた場合などにもたびたび使用されます。


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これは信貴線開業88周年を記念して運行された臨時準急ですが、当然準急信貴山口のコマはないのでイベントと言うこともあり行先板がわざわざこしらえられて(おそらくこの8年前走った臨時準急時のもの)います。
ただ、近年作成された板は手書き字体ではなくフォント化されているので、昔のよりやや味気ないモノとなっています。

他にも南大阪線の開運号、湯の山線のPR板、その他特別列車で大型系統板が掲出されますが、逆に幕が故障した時にはこの大型系統板は使用されず、車掌台窓下に刺す小型の簡易行先板が使用されています。
昔も幕故障時に大型系統板を使うかというと微妙な話だったみたいですけどね。幕故障時、紙に油性ペンで行先を書いてガムテープで車体に貼って運行されている様子が記録で残っていたりします。


というわけでざっくりですが、大型系統板の話でした。
鮮魚列車の幕が壊れた後から引退までは連日見ることが出来ましたが、同列車が引退してまためっきり見ない代物になってしまいました。
というか2020年に標識板を掛け替える定期列車が存在したことがびっくりなんですけどね…